貞操観念高い女の子が浮気を許容せざるを得ない時、そして、浮気された時。〜前編〜
「浮気されてもいいや、どうせ好きだから。」
Twitterの下書きの中で眠っているこの言葉を見つけて、胸が苦しくなった。
いつ書いたのか分からないけど、書いた時の気持ちは確かに憶えている。
私は昔から、「浮気されること」が大嫌いだ。
だって、裏切られたくないから。
だって、不潔だから。
だって、最低だから。
「浮気されたら絶対に別れる。」という言葉を胸に数少ないかつての交際相手との恋愛をしてきたわけである(とは言っても、浮気されたことはない)。
裏切られたくない理由は、私の誠実を最低限の君の誠実で返して欲しいから。
不潔だと思う理由は、私は恋人でもないやつと粘膜を交えたくないから。
最低だと思う理由は、私たちが暮らす国日本は「一夫多妻制」を取り入れる国だから。
そして何より、「私だけを想ってくれる人は他にもいる」という自信があるから。
私と付き合ってくれる男性は君だけじゃないよ、と。強気でもなんでもなく、心からそう想っている。私そこまで寂しい女の子じゃないよ。浮気する人に使う時間など無い。
現在付き合っている人も、「もし浮気なんぞされたら百年の恋も一時に冷めるし、別れたるわ。」と思っているし、彼にも伝えていた、けど。
「浮気されてもいいや、どうせ好きだから。」
って思ってしまうほどに好きだったのだ、現在の彼は。
性格もルックスも頭の回転の速さも優れている彼は年上にも年下にも、もちろん同世代にもおモテになられているわけだが、当たり前に女の子が大好きだ。
そりゃあそうだよ、だって毎日たくさんのスイーツが「食べてー♡」って向かってきたら私はきっと食べてしまうでしょ?きっとそれと同じ、仕方のないこと、自然の摂理。
と思いながら、彼のモテ加減は彼が悪いわけではないし、私が自分磨きを頑張っていけばいいのだ、と思っていたけれど。
やはり、私は魅力不足だったのだ。そして彼の周りには魅力が有り余りすぎていた。
「太刀打ちできない...。」
毎日不安でどうしようもない。飽き性っぽい彼の自分に対する態度がカッスカスになってくる度に、気持ちは冷めるのではなく、悲しみからくる執着心だけだった。
「もっと頑張るから、愛して欲しい。」
「他の人を好きにならないで欲しい。」
そんなことを思いながら涙を堪え、仕事を頑張る、勉強を頑張る、外見の自分磨きを頑張る。
でも、悲しみを原動力とする自分磨きは、いずれ疲れがやってくる。
私は、「愛する人に選ばれた一人」には、もうなれない。
頑張りながらも、そんなことをふと思った。
優しくしてくれなくていいから、一緒にいたい。抱きしめてくれなくていいから、話さなくてもいいから、一緒のベッドで隣で寝たい。
「浮気されてもいいや、どうせ好きだから。」
「私だけを想ってくれる人は他にもいる」ことへの自信なんて何の役にも立たなくて、どうせ泣きながらも隣にいるんだ、という諦めから落ちた言葉だった。
そんなことを思いながら、月日は経ち。
浮気をされているのではないかと、私の第六感が疼く。